この記事の対象:ヒゲ脱毛の“正しい”毛周期について知りたい人
こんにちわ。所長 (@otokono_biyou) だ。
みんなヒゲ脱毛してかい?
現在ヒゲ脱毛を実施中の人も、これからやろうとしている人も是非知っておいて欲しい知識がある。
そう、ヒゲの「毛周期」についてだ。
そんなの知ってるわ!という人は頭に浮かんだ数字と、この記事で述べる数字が合っているかだけでも確認してほしい。
もちろん、「毛周期」って何? という人にもその意味を解説する。
結論:ヒゲの毛周期は比較的長く、半年から1年以上
毛周期という言葉については後から詳しく説明するが、「毛が生まれてから死ぬまで」ではなく、「生まれてから抜けて再び生まれるまで」の1サイクルの期間とざっくり捉えてほしい。
それでそれがヒゲ脱毛の何と関係するかと言えば、実はあまり関係しない。
だがこんな言葉を見たり聴いたりしたことはないだろうか?
ヒゲの毛周期は8~12週間なので、それに合わせて8~12週間ごとに脱毛に通うのが合理的です。
これは真っ赤なウソ。
どこが嘘かというと、ヒゲの毛周期はそんなに短くない。
もちろん個人差や鼻下やあごなど部位によってことなるが概ね半年~1年、場合によっては数年とされている。
下表は、Richards-Merhag tableという体の部位別の毛周期関連の数値をまとめたもから、よく脱毛の対象となる部位を取り出した。
もうひとつ、別の視点から。
ヒゲの伸びるスピードは平均して1日0.3mm程度とされている。
ヒゲの毛周期が約10週であれば、仮にその間ずっと成長し続けていたとしても(後で述べる「成長期」に該当)、1周期の間に2cm弱しか伸びないで抜け落ちることになる。
10cmを優に超えるヒゲを蓄えてた人を見るのもそんなに珍しくはないが、彼らはヒゲの毛周期が長い異常体質なのか?
違う。半年ヒゲを剃らなければ、多くの人がたどり着く長さだ。
ということで、8-12週ごとにヒゲ脱毛に通うのはいいが、それが毛周期に合わせているというのは誤った説明だということは理解できたはず。
続いて「毛周期」の言葉の説明をする。
毛周期とは?
ヒゲの毛周期の数値はこの際別にどうでもいいが、毛周期の意味は脱毛の施術の効果を理解する上で知っておかなくてはならない。
なぜなら脱毛施術を受けても、毛の一生の時間のなかで効果がある期間は決まっているからだ。
毛周期には3つのステージがある。
成長期、退行期、休止期だ。
そのうち脱毛施術の効果があるのは成長期の中の一部の毛のみ。
この知識は是非覚えておいてほしい。
- 成長期(Anagen)
- 後退期(Catagem)
- 休止期(Telogen)
それぞれの段階についてもう少し説明を加える。
毛の構造
毛周期を説明する上で最低限知っておくべき名称を先に挙げる。
- 毛幹:表皮より上に出ている目に見える部分
- 毛根:表皮より下にある目に見えない部分
- 毛包:毛根全体を取り巻く組織
- 毛球:毛根の最下部(基部)の球状に膨らんだ部分
- 毛乳頭:毛球の凹んだ部分
- 毛母細胞:毛乳頭の上の部分にある毛のもとになる細胞
★レーザー脱毛のターゲット
レーザー脱毛の基本は、熱によって毛乳頭やその周辺の組織を破壊する(タンパク質を変性させて再生不可能にする)ことだ。
下図でオレンジの丸で示される根っこの部分がターゲットだと考えてほしい。毛は言わば導火線だ。
ではなぜ成長期の中の一部の毛にしか効果がないと言ったのかを説明する。
成長期(Anagen)
毛乳頭から栄養を取り込み毛母細胞が細胞分裂し、毛が成長している段階。
導火線(毛)はターゲット部にしっかり通じて熱を伝えることができる。
ただし成長期の全ての毛に効果があるかといえばそうではない。
成長期の初期段階、つまり毛が表皮から出ていない状態では導火線に火がつかないことになり、効果がない。
退行期(Catagen)
毛包の収縮が始まり、毛母細胞は分裂を停止する。
ターゲット部にある程度は熱が伝わるが効果が不十分といったところ。
殺しそこねると、ゾンビのように復活してしまうのが毛の厄介なところ。特にヒゲは生命力が凄まじい。
休止期(Telogen)
毛包は細胞分裂機能を失い上昇する。毛根はこんぼう状になる。
毛が抜け落ちていればそもそもレーザーが反応しないし、下図のように毛がまだある(引っ張れば簡単に抜ける)状態でも、ターゲット部と導火線が完全に切り離されていので無意味となる。
ヒゲの成長期の割合と脱毛効果のある割合
毛周期には成長期、退行期、休止期の3つがあり、レーザー脱毛の施術の効果があるのは成長期の中の一部の毛のみと言った。
では休止期も含めた生えて来うるヒゲ全体のうち脱毛効果があるのはどのくらいの割合なのかを最後に説明する。
毛周期の各段階の割合は体の部位によりことなる。
成長期に占める割合は頭髪なら85-90%、眉毛なら10%、体なら概ね20-30%となり、残りは休止期。
退行期は効果がないほうの休止期扱いとする。
さてヒゲの場合はどうなるか?
部位別にまとめたので下図(*1)を参考にしてほしい。
ヒゲは体毛の中で比較的成長期の割合が高いが、少なくとも3割程度はそもそも効果がない休止期。
そして、十分に効果がある成長期後半の毛を約半分の割合とすると、効果が望めるのは、
60-70%(成長期) * 50%(表面に露出) = 30~35%
とヒゲ全体の3割程度となる。
さらに、これらの毛に施術をしたからといって100%ターゲットを倒せるわけではない。
限りなくその殺傷率をあげるなら電気ニードル脱毛という手法になるが、レーザー脱毛の場合は、
- うち漏れ
- 出力不足
などの種々の要因でさらに割合が下がる。
多く見積もって殺傷率7割~5割だとすると、ヒゲ全体に大して一回の施術で効果がある割合は15%~20%と言える。
これでもかなり希望的観測だが、大手の脱毛クリニックがコース回数を5~6回に設定している数値的根拠の算出もこのあたりから来ているはずである。
毛には「毛周期」と呼ばれる毛が生え変わる周期があり、その毛周期の中でも脱毛の効果があるのは全体の20%~30%程度となっております。医療レーザー脱毛は、その生え変わりのスケジュールにあわせてレーザーを照射することで、永久脱毛効果を得ようとするものです。
5回コースである理由|メンズリゼ
まとめ:毛周期と脱毛周期の関係
今日のポイントは2つ。
- ヒゲの毛周期=業者が推奨する脱毛施術間隔(10週程度)ではない。
ヒゲの毛周期はもっと長い。 - ヒゲの毛周期のうち、成長期の割合は高い。
それでも施術で効果があるのは多く見積もっても全体の2割程度となる。
所長
<おわり>